フランス移住のリアルを移住者が解説します!
はじめまして、ルチアと申します。
14年間オーストラリアに居住したのち、フランスのグルノーブルに渡仏しました。
今回はフランス移住を検討している方へ、移住体験者の私が知っている限りのリアルなフランス移住体験を解説していきたいと思いますのでどうぞ宜しくお願い致します。
グルノーブルの位置
現在もフランスですが、半年前からスイスとの国境に位置する田舎町に住んでいます。
フランスへ移住した時期
2009年秋に一年間、ワーキングホリデー制度でフランスのパリに住んだのが最初でしたねー!
本格的な移住になったのは、2019年の11月です。
オーストラリアのメルボルンでの会社を退職して、日本帰国をしないまま直接フランスに渡りました。
フランスへ移住した理由
2004年からオーストラリアで働いていましたが、フランス語文学を大学で専攻したのもあって、フランスの文化に興味がありました。
何事も経験と決心しワーキングホリデー(ワーホリ)ビザで、1年間パリのアパレル企業で働きながら語学を学びました。
その約10年後、日本に一時帰国した際に、日本を旅行中だった現在のパートナーであるフランス人に出会いました。
それから1年間以上長距離で連絡をとっていましたが、2人がこれから長く一緒に暮らせて行けるのかを見極めるためにメルボルンから直接フランス移住を決意しました。
フランスへ移住するまでの流れ(ビザなど)
最初は「ビジタービザ」という労働は不可だけれど1年間滞在可能なビザでした。
ビザはオーストラリアで取得しました。一般的にはあまり知られていないかもしれません。
フランスに住んでいる友人たちも知りませんでした。
私は人生一度きりのワーホリ制度もすでに使っていましたので、残る選択肢は学生ビザか90日以内のシュンゲンビザかと悩んでいたところ、パートナーがこのビザを見つけてくれました。
フランスに到着して半年後、パートナーとこれからも長く一緒にいようとお互いが納得したため、フランス独特の「PACS」を彼と市役所で申請しました。
PACSは「結婚」ではなく「フィアンセ」に当たるようなものです。PACSの詳細:https://www.clairparis.org/ja/clair-paris-blog-jp/blog-2020-jp/1441-pacs
「PACS」イコール滞在可能なビザではないのですが、PACSを取得したことは、労働可能な「滞在許可証」を取得可能な大きな理由になりました。
そしてビジタービザが切れる2か月前に、新規1年間の「滞在許可証」を申請し、4か月ほどで許可されました。
ビジタービザの期限が切れてからの許可となりましたが、滞在許可証を申請した際にその場で発行される「レセピセ(仮の滞在許可証)」がもらえたので問題ありませんでした。
「滞在許可証」の期限である1年がたった現在、その滞在許可証の更新したところです。
今回が前回と異なる点は、即時発行された「レセピセ」と以前の効切れの「滞在許可証」で労働、海外旅行ともに可能な点です。
そして今度は2年間の滞在許可証になるはずです。
移住する際に準備したものは?
「ビジタービザ」発行には申請してから1~3か月要するとフランス領事館に聞いていたので、渡仏する6か月前から書類などの準備を始めました。
オーストラリアのメルボルンに住んでいたため、日本にいる家族に頼んで送ってもらった書類もありますし、渡仏4ヶ月前にはシドニーにある在フランス領事館で申請手続きをしました。
係の方はフランス人女性で、基本は英語で応じてくれました。
私は大学やワーホリ留学でフランス語を学んでいたので、手続きの途中からフランス語で答えると「あなたフランス語話せるの」と笑顔になり、丁寧で親切になったような・・・。
「フランス人は母国語に誇りを感じている」というのはステレオタイプな考えと思っていましたが、今まで私の経験する限りでは彼女だけでなくフランス人によってはどうも当たっているような気もします。
余談ですが、それでもフランス人の老若男女を問わず語学を勉強している人がとても多いとフランスに来てから感じました。
私の周りにも、学校での第2,3外国語履修という理由だけでなく、リタイアしてから、80歳になってから語学に目覚める人も少なくありません。
移民が多いため、両親や親しい友人の母国語を習い始める人もいますし、日本語に興味を持つ人も多いです。
フランスでは子供のお稽古として柔道が定番の一つです。
40代の方から若い人では子供の時から現在に至るまで、テレビで日本のアニメを観たり、最近でもコロナの影響もあって今まで以上に漫画が流行っているのも日本語に興味を持つ人が多いのかと思います。
比較的田舎の町に住んでいますが、マンガショップの多さと日本のアニメのDVDや漫画コーナーをいろんな図書館でよく見かけるのには驚きましたねー。
ビジタービザ取得のため用意したもの
さて、話を戻しますと、「ビジタービザ」で必要な書類にはパスポートや証明写真のほか、
- オーストラリアでの滞在許可証(永住権)コピー
- 300万円以上の銀行残高証明書
- 無犯罪歴証明書
- 1年間の海外旅行保険
- フランスでの滞在先証明書(パートナーが書いて送ってくれた私が彼の家に滞在する旨の書類と彼の身分証明書)
- 申請料(オーストラリアドルにて99ユーロ相当)
等があります。(2019年時点)
時期がよかったのか、一か月以上かかると言われたビジタービザを2週間もかからずに発行していただきました。
※このビザはフランスに到着からも移民局に申請料を払う必要があります。
下着と衣類
過去のパリでの経験で学びましたが、長袖のコートなどの服(フランス人女性の体形なのか、袖が非常に長い)を買うと失敗することもあって、冬服を中心に自分が普段来ているものを持ってきました。
サイズやデザインが好みに合わないのです。しかも下着は結構お値段します。
(※パリやリヨンなどの大都市では、日本のアパレルショップがあるので日本人に合うものも手に入りやすいです。特にSoldes (ソルド)と呼ばれる年2回のバーゲン時期には多少買い足します。)
基礎化粧品も特に洗顔料、泡立てネット
自分の肌に合うものを十分に持ってきてよかったです。
フランスでは化粧品のメーカーや品数は多く、敏感肌用もあって嬉しいのですが、洗顔料で「もっちり泡立つ」ものとなると、日本のメーカーがいいかもしれません。
(あくまで個人的な意見です。)
洗濯ネットなど、便利品
フランスでは売っていても高額なこともあり、かさばらないものなら持参した方が◎です。
フランスの毎月の生活費は?
パートナーと2人暮らしの場合の生活費です↓
○家賃 (2LDKの賃貸アパート) 16万円
○光熱費(電気、水道、ネット費用) 3万円
○交通費(車のガソリン代) 1万円
○食費、日用品 3万円
○医療、保険費 1万円
○娯楽費(外食、小旅行の宿泊費) 3万円 (毎月ではありません)
フランスへ移住してよかったこと
フランスへ移住してよかったことは美しい自然や古くて魅力的な建造物を間近に観ることができることです。
フランスには有名ではない古城や歴史的建造物が数多くあって、ひっそりとたたずんでいるのを観るとワクワクします。
現在住んでいるところもそうですが、特にGrenoble(グルノーブル)はアルプスの山に囲まれていて、ほぼ毎週末に山登りをしていました。
山の頂上で絶壁に建てられた修道院をカフェに改造されたところを偶然見つけたり、アルプス独特の花がたくさん咲いていていつも発見したりと毎回新しいことの連続で飽きることがありません。
またフランスでは土地によって気候や歴史が異なるため、食文化だけでなく家の造りや自然も違います。
少し離れるだけで普段と違う風景に出会えるのは面白いです。
小旅行でも行ってみたいところがたくさんあって、行き先に困りません。
フランスは移民大国で、いろんな国からやってきた人と交流してその国の文化や歴史も学ぶことができるのも素晴らしいことの一つだと思います。
実際、グルノーブルでは国際交流イベントが毎週あり、昨年は引っ越すまで欠かさず参加していました。
おかげで毎回20カ国以上の方とお話ししたり、移民をテーマにした地元の短編映画に出演するといった面白い経験ができました。
(上記2枚の写真は小旅行で訪れたディジョン)
移住して大変だったこと?
うーん、これは日本人のみならず、フランス全土に住んでいる外国人やその身内がよく口々に言うのですが、とにかくどの部門の役所仕事が遅い、それでもミスが多い、係の人によって対応が違うため、担当した係の方によって提出する書類の種類と数が異なるということでしょうか。
都市でも田舎でも日常的に起こりうることです。
例えば直に係の人に提出したはず(リストでお互いにチェック)の書類を「未提出だから早く送れ」という手紙が届いたため、疑問に思いつつも、同じ書類をその役所の受付ポストに直接投函(新型コロナの為、普段は入館不可)した1か月後、もう一度同じ内容の手紙が届きました。
その手紙が届く=私のデータは登録済のはずなのに、長時間待ってやっとつながった電話では「私のデータが全く見つからない」との回答が。
電話口の方は3日間に渡って調べて教えてくださったのですが、私の名前が間違えてデータ登録されていたとのことでした。毎回「またか」の連続です。
オーストラリアの14年間、各3大都市に住んで、日本のサービスを期待するなと自己経験から学び、多少のハプニングには慣れているつもりでしたが、ここまでくると私の予想を超えてるかな(笑)。
それでも県庁、市役所の受付の方々は親切で優しい方々だったのが救いです。
これからフランスへ移住したい方へ向けてのアドバイス
これからフランス移住をしたい方へのアドバイスとしては、日本のサービスや生活を基準として考えずに他のいいところを探すことでしょうか。
「日本ではありえない!」ことがあっても「こういうものなんだ」と割り切った方がストレスも少ないです。
ただ、きちんと言うべきことはうやむやにせずにはっきり言った方がいいです。
そして移住先ではきっと新しいことの連続で発見がたくさんあると思います。
「面白いな」、「すごいな」、「楽しいな」を日々意識すると、不安が少しずつ消えていって、きっと生活がより楽しくなります。
海外に移住する理由が自ら進んで現地に飛び込むのか、それとも仕事やパートナーと出会ったからといったように周囲の状況が自分をそうさせているのかで、海外移住の考え方はずいぶん異なっているかと思います。
それでもどちらも共通するのは、勇気を出していろんなイベントや場所に行って友人の輪を広げたり、どんな小さなことでも面白いことを探したりすることで海外生活は大きく好転するのではないでしょうか。
以上、フランス移住経験者からのリアルなフランス移住体験談でございました!
少しでもフランス移住を検討されている方のお役に立てれば幸いです!