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ケンタ
元フィリピン留学エージェントとして、留学の斡旋・カウンセリング業務に携わってきました。フィリピンへの渡航歴は10回以上、セブ・マニラなど複数の都市を実際に訪れています。
TOEIC900点を保有しており、語学学習や英語力の伸ばし方についても、実体験を踏まえてお伝えできます。
「フィリピンGO!」では、こうした現地エージェントとしての実務経験と渡航経験をもとに、留学・観光・現地生活のリアルな情報を紹介しています。
「観光ビザで働いている」は通用しない——9Gビザが必要な理由

フィリピンに住みながら仕事をしている日本人の中に、「観光ビザを延長しながら何年も働いている」という人が意外と多くいます。
でも実は、これは違法就労にあたります。
発覚した場合は強制送還・入国禁止のリスクもあり、会社側も罰則を受ける可能性があります。
フィリピンで外国人が正式に就労するために必要なのが、9Gワークビザ(正式名称:Pre-arranged Employee Visa)です。
雇用主となるフィリピン法人が申請を主導し、外国人労働者が取得する就労ビザです。
「自分でフリーランスとして働くなら関係ない?」と思われるかもしれませんが、フィリピンでは外国人がフリーランスとして合法的に収入を得ることも原則として制限されています。
働き方の形態に関わらず、まず9Gビザの要件を確認することが重要です。
ケンタ


9Gワークビザをひと目で把握する


申請前にまず全体像を把握しましょう。
費用・期間・条件の目安をまとめました。
9Gビザ取得にかかる「本当の」費用内訳


「5〜10万円」と書くと安く感じるかもしれませんが、費用の構成を知っておかないと思わぬ出費が発生します。
主な費用を整理すると以下のようになります。
| 費用項目 | 目安金額(ペソ) | 備考 |
|---|---|---|
| AEP(就労許可証)申請料 | 約9,000〜10,000ペソ | DOLEへの申請。雇用主が申請 |
| 9Gビザ申請料(BI) | 約7,000〜10,000ペソ | 入国管理局への申請 |
| ACR I-Card発行料 | 約10,000〜16,000ペソ | 外国人登録証(必須) |
| 代行手数料(エージェント) | 15,000〜50,000ペソ前後 | 自力申請なら不要だが現実的には必要 |
| 翻訳・公証費用 | 5,000〜15,000ペソ | 日本側書類の公証・アポスティーユ等 |
上記に加え、日本側でのアポスティーユ取得(外務省への申請)や、フィリピン大使館での認証手数料も発生します。
総額では5万〜10万円前後が一般的な目安ですが、エージェントの質や企業の状況によって大きく変わります。
「思ったより高い」と感じる方も多いのですが、これは1回限りの初期費用。
更新時は新規申請より費用が抑えられるケースが多いです。






9Gビザの申請条件と必要書類を整理する


9Gビザは「外国人本人」ではなく、雇用主であるフィリピン法人が申請を主導するのが大きな特徴です。
そのため、勤務先の会社がBIR(国税庁)やSEC(証券取引委員会)などに正式登録されている必要があります。
主な申請条件は以下の通りです。
- 雇用主がフィリピンに正式登録された法人であること
- DOLE(労働雇用省)が発行するAEP(就労許可証)を取得していること
- 申請者の職種がフィリピン人で代替できないポジションであること(原則)
- 雇用契約書が存在すること
必要書類(日本側)の主なものは以下です。
- パスポート(有効期限18ヶ月以上が望ましい)
- 無犯罪証明書(NBI Clearance相当。日本では警察証明書+アポスティーユ)
- 学歴・職歴証明書(アポスティーユ付き)
- 雇用契約書
- 証明写真
必要書類(フィリピン法人側)の主なものは以下です。
- SEC登録証明書
- BIR(税務登録)証明書
- 最新の年次報告書・財務諸表
- AEP(就労許可証)
- 採用理由書(外国人を雇う必要性の説明)
アポスティーユは外務省への申請が必要で、取得まで数週間かかることがあります。
日本を離れる前に早めに準備を始めることが、全体のスケジュールを左右します。
「9Gビザ」と「会社設立」——どっちが自分に合っている?
フィリピンで働きたい・ビジネスをしたいと考えたとき、「9Gビザで雇用される」か「自分で会社を設立して経営者になる」かの2択を迷う方が多くいます。
両者の違いを比べてみると、選ぶべき道がはっきりしてきます。
| 比較項目 | 9Gワークビザ(就労) | 会社設立(経営) |
|---|---|---|
| 対象 | フィリピン法人に雇われる外国人 | 自分でフィリピン法人を立てたい人 |
| 申請の主体 | 雇用主(フィリピン法人) | 自分または設立会社 |
| 初期費用 | 5〜10万円前後 | 数十万〜数百万円 |
| 取得難易度 | 雇用主次第だが比較的シンプル | 外資規制・業種制限を理解した上で複雑 |
| 向いている人 | 現地採用・日系企業赴任など | 独立・起業・投資目的での移住 |
会社設立は自由度が高い反面、フィリピンの外資60%規制(外国人は原則40%までしか株を持てない業種が多い)など、複雑なルールが絡みます。
「まずフィリピンで働いてみたい」という段階なら、9Gビザから始める方が現実的です。
フィリピンでの会社設立に興味がある方は、フィリピンで日本人が会社設立する方法|外資規制・手続き・コストの解説記事も合わせて参考にしてみてください。






見落とされがちな落とし穴と注意点
調べていると「意外と知らなかった」という声が多い注意点がいくつかあります。
手続きを進める前に必ず確認しておきましょう。
- AEPなしに9Gビザは取れない:AEP(就労許可証)はDOLE(労働雇用省)が発行する書類で、9Gビザ申請の前提条件です。雇用主側が先に取得する必要があります。
- 雇用主が変わると再申請が必要:9Gビザは特定の雇用主に紐付いています。転職・会社変更の場合、新しい9Gビザを最初から取り直す必要があります。
- ビザ申請中は「9A観光ビザ」で在留していること:申請中もフィリピンに滞在できますが、ビザのステータス管理が必要です。オーバーステイにならないよう注意が必要です。
- ACR I-Card(外国人登録証)の取得が必須:9Gビザとは別に取得が必要で、忘れがちな費用です。
- 更新は有効期限前に手続きを:更新手続きにも数週間かかります。期限ギリギリの申請はトラブルの元です。
また、ビザ申請は制度の変更が起きやすい分野です。
最新情報は必ずフィリピン入国管理局(BI)の公式情報や、信頼できるエージェントを通じて確認することをおすすめします。
9Gビザが向いている人・向いていない人
9Gビザは「フィリピン法人に雇われて合法的に働く」ための手段です。
自分の状況と照らし合わせて確認してみてください。
| 向いている人 | 要注意・別の手段を検討すべき人 |
|---|---|
| 日系企業のフィリピン現地法人に採用された | 観光目的でフィリピンに滞在したい |
| フィリピン企業から正式な雇用契約オファーを受けた | フリーランス・個人事業主として働きたい |
| 日本本社からフィリピンへ赴任する予定がある | 定年退職後に移住・悠々自適に暮らしたい |
| 将来の独立に向けて現地での就労経験を積みたい | フィリピン人配偶者がいる(13Aビザが適切) |
定年後の移住を考えている方にはSRRVビザ、国際結婚後の移住を考えている方には13Aビザの申請手順と費用を解説した記事も参考になります。
それぞれの状況に合ったビザ選びが、後のトラブルを防ぐ一番の近道です。
SRRV・9G・13A・クォータビザの違いと選び方をまとめた比較記事もあわせて確認することをおすすめします。
9Gビザ取得までの流れをステップで確認する


全体の流れを把握しておくと、どのタイミングで何を準備すればいいかが見えてきます。
雇用主側と外国人本人の両方が動く手続きなので、早めの連携がカギです。
よくある質問
9Gビザについて調べているときによく出てくる疑問をまとめました。
雇用主がいなくても自分でスポンサーして9Gビザを取れますか?
原則として、9GビザはフィリピンのBI登録法人が雇用主として申請する仕組みです。自分自身をスポンサーにすることはできません。自営・フリーランスを希望する場合は、会社設立が現実的な選択肢になります。
日本にいながら申請を進めることはできますか?
AEPや一部の書類は雇用主がフィリピン国内で申請します。日本側で準備できる書類(アポスティーユ取得など)は事前に進めておき、フィリピン入国後に残りの手続きを進めるケースが一般的です。
9Gビザの更新はどのタイミングでするべきですか?
有効期限の2〜3ヶ月前には手続きを始めることをおすすめします。更新にも書類準備・BIへの提出・審査期間が必要で、期限ギリギリになると在留ステータスに問題が生じる可能性があります。
転職したら9Gビザはどうなりますか?
9Gビザは特定の雇用主に紐付いているため、転職・雇用主変更の際は原則として再申請が必要です。転職の際は旧ビザのキャンセル手続きと新規申請の両方を進める必要があります。
家族を連れてくる場合のビザはどうなりますか?
9Gビザ保有者の家族は「9G Dependent Visa」を申請できます。配偶者・子どもが対象で、就労は原則できませんが、フィリピン国内での合法的な長期滞在が可能になります。
まとめ——9Gビザは「働く環境を整える」ための第一歩
9Gワークビザは、フィリピンで合法的に就労するための基本的な仕組みです。
「観光ビザでなんとかなる」という時代は終わっていて、ビザなし就労のリスクは年々高まっています。
費用・期間・書類の量は決して少なくありませんが、逆に言えばこれだけの手順を踏むことで、フィリピンでの生活基盤がきちんと整います。
雇用主側との連携を早めにスタートし、日本側の書類準備(特にアポスティーユ)を最優先で進めるのがポイントです。
また、ビザの選択を間違えると後から修正が難しく、費用と時間が余計にかかります。
9Gビザが自分の状況に合っているかどうかをまず確認し、退職後の移住や配偶者ビザなど他の選択肢とも比べてみることをおすすめします。
ビザの種類ごとの違いをまとめた比較記事が、選択の参考になるはずです。
フィリピンでのビジネス環境やリアルな生活費についても気になる方は、セブ・マニラ・ダバオの生活費リアル比較もチェックしてみてください。













