「フィリピンで起業できる」って本当?外国人でも大丈夫なの?

「東南アジアでビジネスをやってみたい」と調べていると、フィリピンの名前がよく出てきます。
人口が1億2,000万人超、平均年齢は約25歳という若い国で、成長余地があるのは確かです。
ただ、実際に調べてみると「外国人には制限がある」「思ったより複雑だった」という声も少なくありません。
フィリピンのビジネス環境は、一言で「チャンスあり」とも「簡単ではない」とも言えるリアルな二面性があります。
この記事では、外国人がフィリピンでビジネスを行う際の基本的なルール・費用・よくある落とし穴まで、できるだけ具体的にまとめました。
ケンタ


フィリピンビジネス、数字でひと目でわかるポイント


まず押さえておきたい基本数字をまとめました。
詳細は各セクションで解説します。
Q. 外国人はどんな業種で参入できるの?「外資規制」の実態


フィリピンには「外資ネガティブリスト(Foreign Investment Negative List)」という規制があります。
外国人・外国企業が参入できる業種と、できない・制限される業種が明確にリスト化されているのが特徴です。
結論から言うと、完全に外国人100%出資できる業種は意外と多いです。
製造業・BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)・IT関連・輸出向けビジネスなどは原則フルで外資参入が認められています。
一方で、制限が厳しい業種もあります。
代表的なものをまとめます。
| 業種 | 外資出資上限 | 備考 |
|---|---|---|
| 小売業(資本が一定額以下) | 40%まで | 一定規模以上は緩和あり |
| 広告業 | 30%まで | フィリピン人過半数必須 |
| 土地の所有 | 0%(所有不可) | 長期リースは可能 |
| 天然資源の開発 | 40%まで | 共同事業形態が必要 |
| 輸出向け製造・IT・BPO | 100%OK | PHILEXPORTなど登録要件あり |
特に土地が外国人名義では所有できない点は、不動産絡みのビジネスを考えている方には大きな壁になります。
コンドミニアムのユニット購入は外国人でも可能ですが、土地そのものはフィリピン人または法人名義が必要です。
フィリピン移住を検討されている方向けに、ビザやおすすめエリアも含めた総合解説記事も合わせて参考にしてください。






Q. 会社はどうやって作るの?設立の手順と「本当にかかる費用」
フィリピンで法人を設立する代表的な形態は株式会社(Corporation)と個人事業主に近い単独事業体(Sole Proprietorship)の2種類です。
外国人が事業規模を持ってビジネスするなら、Corporationが一般的です。
手続きは複数の政府機関をまたぐため、一般的に1〜3ヶ月かかるとされています。
主なステップを整理するとこうなります。
| 手続き | 窓口 | 目安費用 |
|---|---|---|
| 社名登録・定款承認 | SEC(証券取引委員会) | 数千〜数万ペソ |
| 事業許可取得 | 市区町村役所(LGU) | 数千ペソ〜 |
| 税務登録 | BIR(内国歳入庁) | 数千ペソ |
| 社会保険・雇用関連 | SSS・PhilHealth・Pag-IBIG | 従業員数による |
代行費用を含めると、トータルで50万〜150万円程度が目安として挙げられることが多いです。
資本金の最低額は業種・出資比率によって異なりますが、外資100%の場合はUS$200,000(約3,000万円相当)が一般的な最低資本金として定められているケースもあります。
ただし業種・登録形態によって大きく変わるため、必ず専門家に確認が必要です。
「安く始められそう」というイメージで参入すると、資本金要件の壁に直面して計画が止まるケースが多いです。
この点は事前確認が必須です。






Q. 税金はどうなるの?日本との二重課税はある?
フィリピンの法人税率は一般的に25%です(一定の中小企業は20%の優遇が適用される場合があります)。
さらに売上税にあたるVAT(付加価値税)が12%かかるのが基本です。
日本との二重課税については、日本とフィリピンの間には「租税条約」が締結されています。
フィリピンで納めた税金を日本側で一定程度控除できる仕組みが整っているため、完全な二重課税にはなりにくいとされています。
ただし、適用条件や申告手続きは複雑なため、税理士への相談は必須と考えておいてください。
また、フィリピンにはPEZA(フィリピン経済特区庁)という制度があります。
PEZA認定企業になると法人税の大幅な優遇(一定期間は5%の特別税率など)が受けられる可能性があります。
ITや製造業でフィリピン進出を考えているなら、PEZAの活用は検討する価値があります。
フィリピンで今伸びているビジネストレンドについては、こちらの記事でSNS・EC・デジタル分野の最新事情をまとめていますので、参入業種を検討する際の参考にしてみてください。
Q. ビジネスビザはどれを使えばいい?働くための滞在資格


フィリピンでビジネスを行うためのビザ・滞在資格は、目的や規模によっていくつかの選択肢があります。
主なものをまとめます。
| ビザ種別 | 特徴 | こんな人向け |
|---|---|---|
| 9(g)ビザ(就労ビザ) | フィリピン法人に雇用される形で就労 | 現地法人に勤務する駐在員 |
| SRRV(退職者向け特別居住ビザ) | 一定の預託金で長期滞在が可能 | 定年後にビジネスを検討するシニア層 |
| 投資家ビザ(ACR I-Card等) | 一定額以上の投資を条件に長期滞在 | 法人設立・投資を行う外国人 |
| 観光ビザ(延長繰り返し) | 短期・入国繰り返しで滞在 | スモールスタート・下調べ段階 |
「観光ビザのまま現地でビジネスをする」というやり方は、グレーゾーンの話が多く、法的に問題が生じるリスクがあります。
特に現地で収益を得る場合は適切なビザ・就労許可の取得が必要です。
ビザ周りの手続きは複雑で、状況によって最適な選択肢が変わります。
フィリピン進出の手続きに不安がある場合は、専門のコンサルティングサービスに無料相談してみるのも一つの手です。
見落とされがちな「現地ビジネスの落とし穴」
制度面だけでなく、実際に動いてみると直面しやすい課題があります。
調べていると「ここで詰まった」という声が多い点をまとめました。
- 書類手続きが遅い: 政府機関の対応スピードは日本とは別物と思っておいた方がいいです。想定の2〜3倍の時間がかかることはよくあります
- 現地パートナー選びが最大のリスク: 外資規制があるため、フィリピン人の共同経営者が必要になるケースがあります。この信頼関係が崩れると経営そのものが危うくなります
- 言語・文化の壁: 英語が通じる国ではありますが、ビジネスの場でのコミュニケーションスタイルや意思決定の感覚は日本とかなり異なります。フィリピン特有の文化・慣習については別記事でまとめていますので、進出前に一度読んでおくことをおすすめします
- インフラの問題: 特にマニラ首都圏は慢性的な渋滞があり、物流・移動のコストが想定外にかさむことがあります
- 詐欺・トラブルのリスク: 「フィリピンでの投資案件」をうたった詐欺的な話は残念ながら一定数あります。特に知人経由の「おいしい話」には慎重に



こんな声も
編集部がフィリピンでのビジネスに関心を持つ方々の声を一般的な傾向をもとに構成しました。
最初はフィリピンで会社を作って節税できると聞いて興味を持ちましたが、資本金要件や手続きの複雑さを知って、まずは現地パートナーと小さく始める方法を模索しています。
セブ島で小さなカフェを開きたいと思って調べたら、土地が買えないこと・フィリピン人パートナーが必要なことがわかりました。それでも長期リースで実現している日本人がいると聞いて、今は現地視察を計画中です。
輸出向けビジネスならPEZAを使って税優遇が受けられると知って驚きました。思っていたより外資に優しい制度もあるんですね。
SRRVで長期滞在しながらゆっくりビジネスの可能性を探っています。焦らずまずは現地の人脈を作ることが大切だと感じています。
※特定個人の発言ではなく、編集部が一般的な傾向をもとに構成した内容です。
フィリピンビジネスに向いている人・向いていない人
ここまで調べてきて感じるのは、「フィリピンでのビジネスはチャンスがある一方、準備と覚悟が必要」ということです。
| 向いている人 | 要注意な人 |
|---|---|
| 英語でのコミュニケーションができる | 日本と同じ感覚で手続きを進めようとしている |
| 輸出・IT・BPO系の業種を検討している | 「とりあえず観光ビザで始めよう」と考えている |
| 信頼できる現地パートナー・弁護士とつながれる | 現地のネットワークが全くない状態で参入しようとしている |
| 中長期(3〜5年以上)でコミットできる | 短期で大きく回収しようとしている |
| リスクを分散した形でスモールスタートできる | 全財産を注ぎ込む前提で考えている |
「英語が通じる・コストが安い」だけでフィリピンを選ぶのは少し危険です。
制度・文化・人的ネットワークの三つが揃って、初めてビジネスが回り始めると考えておくのが現実的です。
フィリピンビジネスを始めるための具体的なステップ


「とりあえず動いてみたい」という方向けに、現実的な準備ステップをまとめました。



よくある質問
読者からよくある疑問をまとめました。
フィリピン人を雇わないと会社は作れませんか?
業種によります。外資100%が認められる業種であれば、必ずしもフィリピン人株主が必要なわけではありません。ただし取締役の一定割合にフィリピン人を入れるよう求められるケースがあるため、設立前に専門家へ確認を。
フィリピンの法人税は日本より安いですか?
法人税率は25%(一般)で、日本の約23〜34%と大きな差はありません。ただしPEZA登録企業は特別税率の適用があり、優遇幅が大きくなる可能性があります。節税目的だけで選ぶのはリスクがあります。
日本語だけで手続きはできますか?
公式手続きはすべて英語・フィリピノ語です。日本語対応の代行業者・弁護士を活用することはできますが、自身もある程度英語でやり取りできると大きな強みになります。
まず個人で小さく始めることはできますか?
フリーランス的に現地で収益を得るには就労許可が必要です。「観光ビザのまま仕事をする」という状態は法的にグレーなため、長期的に事業をするなら最初から適切なビザ・法人形態を選ぶ方が安全です。
まとめ:フィリピンビジネスは「準備した人に」チャンスがある
フィリピンはGDP成長率が高く、若い人口と英語環境を持つ、確かに魅力的なビジネスフィールドです。
ただ、「なんとなく安そう・簡単そう」というイメージで飛び込むと、外資規制・資本金要件・行政手続きの遅さという現実に直面します。
裏を返せば、しっかり下調べをして、信頼できる専門家と組んだ人にとっては、日本ではなかなか見られない成長市場にアクセスできる可能性があります。
焦らず、まず現地を自分の目で見て、人脈を作るところから始めることをおすすめします。
ビザや移住と合わせてフィリピン生活全体を検討している方は、フィリピン移住の総合ガイドも参考にしてみてください。












