この記事を書いた人
ケンタ
元フィリピン留学エージェントとして、留学の斡旋・カウンセリング業務に携わってきました。フィリピンへの渡航歴は10回以上、セブ・マニラなど複数の都市を実際に訪れています。
TOEIC900点を保有しており、語学学習や英語力の伸ばし方についても、実体験を踏まえてお伝えできます。
「フィリピンGO!」では、こうした現地エージェントとしての実務経験と渡航経験をもとに、留学・観光・現地生活のリアルな情報を紹介しています。
「フィリピンで起業」は意外とハードルが低い?知らないと損する外資ルールの実態

「フィリピンで起業したい」と調べ始めると、まず目に入るのが「外資60%規制」という壁です。
でも実際に調べてみると、業種によっては外国人が100%出資できるケースも多く、思っていたより選択肢は広いことがわかってきました。
マニラのBGCやマカティには、すでに多くの日本企業が法人を設立しています。
「現地法人を持つのは大企業だけ」というイメージは、もう古いかもしれません。
一方で、手続きの複雑さやコスト、フィリピン特有の法的リスクを甘く見ると痛い目を見るのも事実です。
この記事では、実際に調べてわかった外資規制・法人形態・費用・手順を、できるだけわかりやすくまとめました。
ケンタ


ひと目でわかる、フィリピン会社設立の基本数字


手続きの全体像を把握する前に、まずは主要な数字を押さえておきましょう。
費用・期間・資本金のいずれも、日本での法人設立とはかなり感覚が異なります。
まず選ぶべき「法人形態」の違い|選択を間違えると後悔します


フィリピンで外国人が事業を行う場合、大きく分けて4つの法人形態があります。
どれを選ぶかによって、必要資本金・税制・手続きの難易度が大きく変わります。
| 形態 | 外資比率 | 最低資本金目安 | こんな人向け |
|---|---|---|---|
| 株式会社(Corporation) | 業種による(最大100%) | 約200万円〜 | 中長期でしっかり事業展開したい |
| 駐在員事務所(Representative Office) | 外資100%可 | 約550万円(運転資金) | 営業活動なし・市場調査目的 |
| 支店(Branch Office) | 外資100%可 | 約550万円 | 本社の延長として現地活動したい |
| 地域統括本部(ROHQ) | 外資100%可 | 約550万円 | アジア拠点のハブにしたい大企業向け |
個人事業主として活動する「Sole Proprietorship」という形態もありますが、外国人が個人事業主として登録できる業種はごく限られており、基本的には現実的な選択肢にならないケースがほとんどです。
多くの日本人起業家が選ぶのは株式会社(Corporation)です。
業種によっては外資100%が認められ、フィリピン人パートナーなしで経営できます。
ただし「業種が外資規制対象かどうか」は必ず事前に専門家に確認することをおすすめします。



外資規制の「ネガティブリスト」とは?業種によって天と地の差がある
フィリピンには「外国投資ネガティブリスト(Foreign Investment Negative List)」という規制リストがあります。
このリストに載っている業種は、外資の出資比率に上限が設けられています。
調べてみると、規制の程度は業種によって3段階に分かれています。
- 外資0%(外国人参入不可):マスメディア、土地所有、小売業(資本金条件あり)など
- 外資40%まで:広告業、採掘業、教育機関、公共事業など
- 外資60%まで:自然資源の探査・活用など
一方、IT・BPO・製造業・輸出業・観光業の一部など、外資100%が認められる業種も多数あります。
「自分のビジネスがどの業種に分類されるか」は、実はグレーゾーンも多く、専門の弁護士やコンサルタントに確認するのが確実です。
なお、ネガティブリストは数年おきに改定されています。
過去の情報をそのまま信じず、最新のリストを確認する習慣をつけておきましょう。






「本当にかかるお金」を正直に公開|設立費用の内訳


フィリピンでの会社設立費用は、政府への登録費用だけでなく、弁護士・会計士・代行業者へのフィーが大きな割合を占めます。
「安く済むと思っていたら、思わぬ出費が続いた」という声も少なくありません。
以下は、株式会社(Corporation)を設立する場合の一般的な費用目安です。
為替レートや手続き状況によって変動するため、あくまで参考値としてご覧ください。



こんな人には向いている、こんな人は要注意
フィリピンでの法人設立は、状況によって「最適解」にも「過剰投資」にもなります。
自分がどちらのタイプかを先に確認しておくことが大切です。
こんな人に向いています
- IT・BPO・コンサルティングなど、外資規制が緩い業種での起業を考えている
- フィリピン国内での安定的な収益化を中長期で目指している
- 現地スタッフを雇用して事業を拡大したい
- 日本企業のフィリピン拠点として機能させたい
こんな人は要注意
- 短期間だけ試してみたいという軽い気持ちで設立を考えている(維持コストが継続的にかかります)
- 外資規制の対象業種でフィリピン人名義を借りる「ダミー設立」を検討している(違法であり、摘発・財産没収のリスクが非常に高いです)
- 現地の法務・会計を自力で全部やろうとしている(フィリピンの規制は複雑で、専門家なしは厳しいです)
フィリピンでのビジネス全般のリアルな実態については、こちらの記事でより詳しくまとめています。
合わせてご覧ください。
設立の流れをステップで整理|「何から始めるか」が一番大事


フィリピンでの会社設立は、手続きの順番を間違えると手戻りが発生して時間を大きくロスします。
全体の流れをざっくり把握してから動き始めるのがおすすめです。
なお、設立後も毎年のBIR申告・SEC年次報告・地方自治体のビジネスパーミット更新が必要になります。
設立して終わりではなく、継続的な管理コスト・手間も最初から見込んでおきましょう。
フィリピンでの法人・個人銀行口座の開設方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
設立前に口座開設の流れも確認しておくとスムーズです。
よくある質問
フィリピンでの会社設立について、よく寄せられる質問をまとめました。
日本に住んだままフィリピンに法人を設立できますか?
書類上は可能ですが、SEC登録やBIR手続きには現地での手続きが一部必要です。現地の代理人(弁護士・コンサルタント)を通じて進めるのが現実的で、その費用も見込んでおきましょう。
フィリピン人パートナーがいないと会社は作れませんか?
業種によっては外資100%が認められるため、フィリピン人パートナーが不要なケースも多くあります。外資規制の対象業種の場合は、適法な形での合弁が必要です。名義を借りる「ダミー設立」は違法で、摘発リスクが非常に高いため絶対に避けてください。
設立後、どんな維持コストがかかりますか?
年次報告(SEC)、税務申告(BIR)、市区町村のビジネスパーミット更新が毎年必要です。会計士・弁護士への顧問料も含めると、年間数十万円規模の維持費を見込んでおくのが現実的です。
フィリピン法人を持つことで、就労ビザ(9Gビザ)は取得しやすくなりますか?
自社の法人からスポンサーを受ける形で就労ビザを申請することは可能です。ただし、最低資本金要件など一定の条件を満たす必要があります。ビザの種類と条件については別途確認が必要です。
英語が苦手でも手続きはできますか?
フィリピンの行政手続きは英語が基本です。書類も英語。実際には弁護士や代行業者に委任するケースがほとんどのため、英語力よりも「信頼できる現地パートナーを見つけること」の方が重要といえます。
まとめ|フィリピン起業は「準備」と「現地の専門家」が成否を分ける
調べれば調べるほどわかるのは、フィリピンでの会社設立は「敷居が低そうで、実はちゃんと準備が必要」だということです。
外資規制・法人形態の選択・継続的な維持コストと行政手続き。
これらをすべて正確に把握するのは、現地の専門家なしには正直難しいと感じました。
「とりあえず試してみよう」という感覚で動き始めると、後から大きなコストとリスクが待っています。
一方で、業種が合えば外資100%で完全なコントロールを持った法人を持てるのも事実。
英語でビジネスができ、ASEANの市場に近く、人件費も比較的抑えられるフィリピンは、長期的な視点で見ると魅力的な拠点候補のひとつです。
フィリピンへの移住・長期滞在を視野に入れている方は、ビザや生活費の全体像をまとめたこちらの記事も参考にしてください。
また、長期滞在ビザの種類と選び方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
まずは信頼できるフィリピン現地の弁護士やコンサルタントへの相談から始めることを、編集部としても強くおすすめします。
「安くて全部やります」という業者への安易な依頼は、後から取り返しのつかないトラブルになるケースがあるため、実績確認を怠らないでください。










