フィリピン人パートナーとの相続・財産分与|法的リスクと準備

フィリピン人パートナーとの相続・財産分与|法的リスクと準備

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ケンタ

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監修: ケンタ 運営: シグラド合同会社

元フィリピン留学エージェントとして、留学の斡旋・カウンセリング業務に携わってきました。フィリピンへの渡航歴は10回以上、セブ・マニラなど複数の都市を実際に訪れています。

TOEIC900点を保有しており、語学学習や英語力の伸ばし方についても、実体験を踏まえてお伝えできます。

「フィリピンGO!」では、こうした現地エージェントとしての実務経験と渡航経験をもとに、留学・観光・現地生活のリアルな情報を紹介しています。

目次

「結婚後に財産はどうなる?」日本人が見落としがちな国際結婚の落とし穴

「結婚後に財産はどうなる?」日本人が見落としがちな国際結婚の落とし穴

国際結婚の手続きが終わってひと安心——でも、その後に待ち受けている「財産」と「相続」の問題を、きちんと考えていた人はどれくらいいるでしょうか。

調べてみると、日本人とフィリピン人の夫婦では、どちらの国の法律が適用されるかが状況によって異なるため、「当然こうなるだろう」と思っていた前提が崩れるケースが少なくないことが分かりました。

たとえば、日本に住んでいるフィリピン人配偶者が亡くなった場合と、フィリピンに購入した不動産を日本人配偶者が相続しようとした場合では、適用される法律がまったく違ってきます。

知らないままでいると、いざというときに大切な財産を守れなくなる可能性も。

この記事では、国際結婚後に知っておくべき相続・財産分与の法的リスクと、今から取れる準備を一緒に確認していきます。

ケンタ
正直、結婚手続きが終わったら財産の話まで考える余裕がなかったです……

エンジェル
実は結婚前後が一番大切な時期なんです。後からでも準備できますが、早いに越したことはないですよ。

ひと目でわかる「相続・財産分与」の基本数字

ひと目でわかる「相続・財産分与」の基本数字

まず全体感を把握するために、国際結婚に関わる相続・財産分与で押さえておきたい数字を整理しました。

詳しくは各セクションで解説します。

日本法 vs フィリピン法、どちらが適用される?——2つの法律の衝突

日本法 vs フィリピン法、どちらが適用される?——2つの法律の衝突

国際結婚の財産問題で最初にぶつかる壁が「どちらの国の法律が使われるか」という問題です。

結論を先に言うと、相続に関しては「亡くなった人の本国法」が原則とされています(日本の国際私法・法の適用に関する通則法)。

つまり、フィリピン人配偶者が亡くなった場合はフィリピン法が、日本人配偶者が亡くなった場合は日本法が、それぞれ相続の基本ルールとして適用されます。

ただし財産の所在地によって例外もあり、特に不動産はその土地が属する国の法律が優先されるケースも多いです。

ケンタ
同じ夫婦なのに、どちらが先に亡くなるかで適用される法律が変わるんですね……複雑すぎる。

エンジェル
そこが一番混乱しやすいポイントなんです。両国の法律を両方知っておく必要があるのが国際結婚の難しいところですよ。

フィリピン法で知っておくべき「強制相続分」の壁

フィリピン法で知っておくべき「強制相続分」の壁

フィリピンには「強制相続人(Compulsory Heirs)」という概念があり、遺言書を書いても自由にできる財産の割合が制限されます。

日本の遺留分制度に近いイメージですが、フィリピンの場合は子どもへの保護が特に強く設定されています。

フィリピン民法上、強制相続人には以下が含まれます。

  • 正式な婚姻から生まれた子ども——最優先で相続権を持つ
  • 生存配偶者——子どもと共同相続が基本
  • 認知された婚外子——正嫡子の半分の権利が認められるケースも

日本人配偶者の立場からすると、パートナーの前の交際・結婚で生まれた子どもがいる場合、その子どもが相続権を持つ可能性があり、想定より受け取れる財産が少なくなることがあります。

事前に確認しておくことが大切です。

フィリピン人パートナーと将来の生活設計を話し合う方法の記事でも触れていますが、お金・財産の話は「結婚前」か「信頼関係が安定した早い段階」に話し合っておくのが理想的です。

エンジェル
フィリピンでは家族の絆を法律で守る設計になっているので、強制相続分は簡単には変えられません。遺言書があっても全部が自由になるわけではない点は、多くの日本人が驚くところです。

外国人は「土地」を相続できない?フィリピン不動産の落とし穴

フィリピン憲法では、外国人による土地の所有は原則として禁止されています。

これは相続でも同様に適用される点が、大きな落とし穴になりえます。

たとえば、フィリピン人配偶者が亡くなり、その人が所有していた土地を日本人配偶者が相続しようとした場合、その土地の「所有権」は認められないケースがほとんどです。

ただし、相続を受けた後に一定期間内(一般的に5年以内)に売却することは認められているため、資産を完全に失うわけではありません。

一方、コンドミニアム(区分所有マンション)は外国人でも一定割合まで所有可能なため、不動産購入の際は土地付き物件ではなくコンドミニアムを選ぶ日本人も多いようです。

フィリピンでの不動産取得については、フィリピンで外国人がコンドミニアムを買う方法と注意点で詳しくまとめています。

ケンタ
え、土地は相続できないんですか? それは知らなかった……

エンジェル
「相続はできるけど所有はできない」という独特のルールがあるので、売却前提で動く必要があります。事前に弁護士に確認しておくと安心ですよ。

気をつけたい「財産分与」のリスク——離婚ができないフィリピンの現実

気をつけたい「財産分与」のリスク——離婚ができないフィリピンの現実

相続と並んでもう一つ重要なのが、離婚に関する財産分与の問題です。

フィリピンは世界でも数少ない「離婚を認めていない国」で、法的な婚姻解消の手段は「婚姻無効(Annulment)」か「法的別居(Legal Separation)」に限られます。

婚姻無効の手続きは費用も時間も相当かかります。

日本側でも要注意——戸籍・相続税・遺言書の3つの落とし穴

フィリピン側の問題だけでなく、日本側でも準備が必要な点がいくつかあります。

特に以下の3点は、後回しにすると思わぬトラブルにつながりやすいです。

  • 戸籍の整理——フィリピンで結婚した事実を日本の戸籍に反映する「婚姻届の届出」が必要。これが抜けていると、日本での相続手続きが複雑になります
  • 相続税の申告義務——日本に居住しているフィリピン人配偶者が相続人になった場合、日本の相続税の課税対象になります。フィリピン側で支払った相続税との二重課税には一定の控除制度がありますが、専門家への相談が必要です
  • 遺言書の有効性——日本で作成した遺言書がフィリピンで有効かどうかは、方式・内容によります。フィリピン国内の財産については、フィリピンの弁護士に確認した遺言書を別途用意する方が確実です

フィリピン人との国際結婚の手続き・費用・詐欺対策の記事も合わせて読むと、婚姻手続き全体の流れが把握しやすいです。

こんな声も——国際結婚した人たちのリアルな体験

編集部が一般的な傾向をもとに構成した声です。

実際に国際結婚を経験された方々の声を参考に、よくある悩みや気づきをまとめました。

🧑‍💼
40代・フィリピン人女性と結婚して3年

結婚手続きで精一杯で、財産や相続のことは後回しにしていました。子どもが生まれてから遺言書の話を弁護士に相談したら、思ったより複雑で驚きました。早めに動いておけばよかったです。

👩
50代・定年後にフィリピン移住を検討中

フィリピンに不動産を持つつもりでいたけど、土地は外国人名義にできないと知って計画を変えました。コンドミニアムに切り替えて、名義や相続の問題も含めて現地弁護士に事前相談しました。

👨‍🦱
30代・日本在住フィリピン人女性の立場

夫の家族との相続の話をしっかり話し合えていなくて不安でした。日本の制度を調べて、遺言書を夫婦で一緒に作成することにしました。お互いの意思を文書で残せて安心できました。

※特定個人の発言ではなく、編集部が一般的な傾向をもとに構成した内容です。

こんなカップルは今すぐ準備を——リスクが高い状況チェックリスト

すべての国際結婚カップルが今すぐ動く必要があるわけではありません。

ただ、以下のような状況に当てはまる場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

  • フィリピンに不動産・土地・銀行口座を持っている、または購入予定がある
  • パートナーに前の交際・婚姻から生まれた子どもがいる
  • 日本・フィリピン両国に資産が分散している
  • 日本での婚姻届・戸籍への反映がまだ済んでいない
  • パートナーの親・兄弟への金銭的な援助が継続的にある
  • どちらかが高齢・持病があり、相続が近い将来の現実的な問題になりえる

一方、「まだ結婚したばかりで資産はほとんどない」「両国に財産が特になく、日本のみで生活している」という段階であれば、まずは情報収集と話し合いの場を作るだけでも十分なスタートになります。

「まだ早い」と思っていたカップルほど、急な事態に備えが間に合わないケースが多い——これが実態のようです。

今から動ける「相続・財産分与」の準備ステップ

今から動ける「相続・財産分与」の準備ステップ

難しく考えすぎず、まずはこの4ステップを目安に動いてみてください。

完璧を目指すより「少しずつ整えていく」姿勢が大切です。

フィリピン国際結婚後の「呼び寄せ」完全ガイドでは、配偶者ビザの手続きについても詳しく解説しています。

ビザと財産・相続の準備は並行して進めるのがおすすめです。

よくある質問

読者からよく寄せられる疑問をまとめました。

Q

フィリピン人配偶者が亡くなった場合、日本人は何を相続できますか?

A

日本国内の資産は日本法に基づき相続できます。フィリピン国内の資産はフィリピン法が原則適用され、土地の所有権は外国人には認められませんが、一定期間内に売却して換金することは可能です。

Q

フィリピンに住んでいる場合でも、日本で遺言書を作った方がいいですか?

A

日本の財産については日本で作成した遺言書が有効です。フィリピン国内の財産については、フィリピン法の要件を満たした遺言書を別途用意する方が確実です。弁護士への確認を強くおすすめします。

Q

婚前契約(プレナップ)はフィリピンでも有効ですか?

A

フィリピンでは「Marriage Settlement(婚前財産契約)」という制度があり、一定の条件を満たせば有効です。ただし、公証が必要で内容にも制限があります。フィリピンの弁護士に依頼して作成するのが安全です。

Q

フィリピンの相続税はどのくらいかかりますか?

A

フィリピンの相続税は、一律6%が課税対象純資産額に対して課されます(ただし一定の控除あり)。日本の相続税とフィリピンの相続税が二重にかかる場合は外国税額控除の適用を専門家に確認しましょう。

Q

パートナーの家族への金銭援助は、相続に影響しますか?

A

直接の相続には影響しませんが、援助の記録がない場合、後から「贈与」「債務」として問題になるケースがあります。金額・頻度・目的を記録し、大きな援助は書面で残しておくと安心です。

まとめ——「後で考えよう」が一番のリスク

調べれば調べるほど、国際結婚の相続・財産分与は「知らなかった」では済まない問題が多いと感じました。

日本法とフィリピン法の双方にまたがる複雑さは、専門家でも一人では全体を見渡しにくい領域です。

エンジェルに聞くと「フィリピン人のパートナーも、自分の家族に迷惑をかけたくないと思っているはず。

財産の話は関係を壊すものではなく、お互いを守るための話し合いです」との一言が印象的でした。

財産・相続の準備は、愛情表現の一つと捉えてもいいかもしれません。

まずは現状の資産リストを作ることから始め、気になる点は国際家族法に詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。

フィリピン人パートナーと将来の生活設計を話し合う方法も参考に、二人で一緒に考えてみてください。

また、フィリピンへの移住・長期滞在を視野に入れている場合は、フィリピン長期滞在ビザ比較(SRRV・9G・13A・クォータビザ)も合わせてチェックしておくと、ビザと財産管理を同時に整理しやすくなります。

エンジェル
難しい話が続きましたが、「知っておくだけ」でも全然違います。準備は早いほど選択肢が広がりますよ。

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