この記事を書いた人
ケンタ
元フィリピン留学エージェントとして、留学の斡旋・カウンセリング業務に携わってきました。フィリピンへの渡航歴は10回以上、セブ・マニラなど複数の都市を実際に訪れています。
TOEIC900点を保有しており、語学学習や英語力の伸ばし方についても、実体験を踏まえてお伝えできます。
「フィリピンGO!」では、こうした現地エージェントとしての実務経験と渡航経験をもとに、留学・観光・現地生活のリアルな情報を紹介しています。
「移住したら日本の税金は関係ない」と思ったら要注意です

エージェント時代、これは本当によく聞かれた質問でした。
「フィリピンに住んでいれば、日本には税金を払わなくていいんですよね?」という声です。
実はこの答え、住んでいる期間や所得の種類によって大きく変わってきます。
年金をもらっている人、現地で働いている人、投資収入がある人では扱いがまったく違うのです。
今回は元留学エージェントとして相談を受けてきた経験と、日比租税条約の仕組みを踏まえて整理していきます。
ケンタひと目でわかるフィリピン長期滞在者の税金事情
まずは全体像をざっくり押さえておきましょう。
細かい話は次の章から掘っていきます。
「本当の」分かれ道は「居住者」か「非居住者」か
日本の税制で一番重要なのは、あなたが日本の「居住者」なのか「非居住者」なのかという点です。
ここを間違えると、払わなくていい税金を払い続けてしまうこともあります。
フィリピンに生活の本拠を移し、日本に住所がない状態が続くと「非居住者」として扱われる可能性が出てきます。
非居住者になると、原則として日本国内で発生した所得だけに課税される仕組みに変わります。
実はこの居住者・非居住者の切り替えは、住民票を抜くタイミング1つで結果が変わってしまいます。



居住者と非居住者、扱いはこんなに違う


言葉だけだとイメージしづらいので、税制上の違いを表にまとめてみます。
同じフィリピン生活でも、この区分によって課税範囲がまったく変わってくるのが面白いところです。
| 区分 | 課税される所得 | 住民税 |
|---|---|---|
| 日本の居住者 | 全世界の所得 | 原則かかる |
| 日本の非居住者 | 日本国内源泉所得のみ | 原則かからない |
フィリピン側でも、現地で就労している場合はフィリピンの所得税がかかってきます。
その際に問題になるのが「二重課税」です。
日比租税条約では、外国税額控除などの仕組みで同じ所得への二重課税を避ける手段が用意されています。
現地で働く場合の在留資格については9Gワークビザの取得ガイドも参考にしてみてください。
SRRV・年金・現地就労、立場ごとに変わる扱い
一律に語れないのがこの税金問題の難しさです。
立場によってかなり事情が変わってきます。
- 年金受給者: 日本の年金は源泉分離課税の対象になることが多く、非居住者でも一定の税率で源泉徴収される仕組みです
- SRRV保有者: ビザ自体は税務上の居住者判定に直結しませんが、生活実態がフィリピン中心なら非居住者判定に近づきます
- 現地就労者: フィリピンで得た給与にはフィリピンの所得税がかかり、TIN登録も必須です
- フィリピンで会社を設立して事業をしている人は、法人税や個人事業の申告も別途必要になります
老後の移住スタイルについてはSRRVとクォータビザの比較記事、働き方全般は定年後フィリピン移住の働き方ガイドでも触れています。
在フィリピン日本国大使館(領事班)への在留届と見落とされがちな落とし穴


📍 在フィリピン日本国大使館(領事班)
営業時間・料金は変更される場合があります。訪問前に公式サイトやGoogleマップで最新情報をご確認ください。
意外と抜けやすいのが、税務以前の「在留届」の存在です。
3ヶ月以上フィリピンに滞在する場合、在フィリピン日本国大使館(領事班)への在留届の提出が求められています。
これを出していないと、後から居住実態の証明で困るケースをエージェント時代に何度か見てきました。
- 住民票を残したまま「非居住者になったつもり」で確定申告をしていない
- フィリピンでTIN(納税者番号)を取らずに現地で働いてしまう
- 年金の非居住者向け源泉徴収の届出を出し忘れる
- フィリピンの銀行口座開設時にTINを求められて慌てる
フィリピンGO編集部メモ: TINの新規登録は、外国人の場合メトロマニラではケソン市のBIR本庁のみで受け付けているという情報があります。
地方在住の人ほど早めの確認が必要です。
銀行口座の開設手続きについては外国人の銀行口座開設ガイドもあわせて確認しておくと安心です。






こんな人は要注意、こんな人は比較的シンプル
すべての長期滞在者が同じ苦労をするわけではありません。
立場によって難易度がかなり違います。
| タイプ | 税務の複雑さ |
|---|---|
| 年金のみで生活する引退者 | 比較的シンプル(源泉徴収で完了する場合が多い) |
| 日本の会社に残りつつ遠隔で働く人 | 要注意(居住者判定と国内源泉所得の扱いが絡む) |
| フィリピンで会社を設立している人 | 要注意(法人税・現地申告が別途発生) |
| 不動産・株式など複数の収入源がある人 | 要注意(所得の種類ごとに扱いが分かれる) |
事業を持つ人はフィリピンでの会社設立ガイドもチェックしておくと、税務の見通しが立てやすくなります。
税務の準備・始め方|BIR National Office(内国歳入庁 本庁)でのTIN登録ステップ
📍 BIR National Office(内国歳入庁 本庁)
営業時間・料金は変更される場合があります。訪問前に公式サイトやGoogleマップで最新情報をご確認ください。
複雑に見える手続きも、順番通りに進めれば意外と整理しやすくなります。
特に出国前の準備を怠ると、後から日本側で二度手間になることが多いです。
ここまでの内容が自分のケースに当てはまるか判断しづらい場合、移住・長期滞在の無料カウンセリングを利用して事前に相談してみるのも一つの手だと思います。
STEP1 出国前の住所整理
住民票を残すか抜くか、家族の状況も含めて決めておきます。判断次第で課税範囲が変わります
STEP2 TIN登録
BIR National Officeなどでフィリピンの納税者番号を取得します。現地就労・事業者は必須です
STEP3 年金・所得の届出確認
年金機構や勤務先に非居住者向けの届出が必要か確認します
STEP4 専門家への相談
税理士や移住サポートを行うエージェントに、自分のケースを一度整理してもらいます
よくある質問
相談を受けていた頃によく聞かれた質問をまとめました。
フィリピンに住民票を置いたまま移住しても大丈夫ですか?
可能ですが、その場合は日本の「居住者」として全世界所得に課税される可能性が残ります。長期滞在の予定があるなら、住所の扱いを事前に確認しておくのが安心です。
年金だけで暮らしている場合も確定申告は必要ですか?
非居住者向けの源泉徴収で完了するケースも多いですが、年金額や他の所得の有無によって変わります。年金機構への確認をおすすめします。
二重課税された場合はどうすればいいですか?
日比租税条約に基づく外国税額控除の制度を使うことで、片方の国で払った税金を差し引ける場合があります。詳細は税理士への相談が確実です。
フィリピンのTINはどこで取得できますか?
現地就労者や事業者は必須で、外国人の新規登録はメトロマニラではBIR National Office(本庁)での受付が中心という情報があります。地域ごとに窓口が異なるため事前確認が必要です。
まとめ
フィリピン長期滞在者の税金は、一言で「こうすればOK」と言えるものではありません。
年金・現地就労・事業経営、それぞれの立場で答えが変わってくるのがこのテーマの難しさです。
ただ、居住者か非居住者かの判定と日比租税条約の存在を知っておくだけでも、慌てずに準備を進められるはずです。
エージェント時代の実感としても、税務の相談は早く動いた人ほど選択肢が多く残っていました。
移住の全体像を掴みたい人は50代・60代からのフィリピン移住ガイドもあわせて読んでみてください。











