「とりあえずビザは観光でいいか」では通用しなくなってきた
フィリピンへの長期滞在を考えたとき、最初に多くの人がつまずくのが「ビザって何を取ればいいの?」という壁です。
観光ビザ(一般的に「9A」と呼ばれます)でも延長を繰り返せばある程度滞在できますが、最長でも通算2年程度が上限で、そのたびに更新手続きが必要。
費用も積み重なります。
「年に一度フィリピンで数か月暮らしたい」「パートナーと一緒に移住したい」「退職後の拠点にしたい」……目的によって、取るべきビザはまったく違います。
調べてみると、主な長期ビザだけで4種類以上あることが分かりました。
それぞれの違いを整理してみます。
ケンタ


4つのビザをひと目で比較


まず、主要な長期滞在ビザの概要を数字で整理しました。
それぞれの詳細は後続のセクションで解説します。
ビザ別・目的別の特徴と本当にかかる費用


4つのビザには、それぞれ「誰向けか」「何が必要か」がはっきり違います。
費用の目安とあわせて整理しました。
| ビザ種別 | 主な対象 | 初期費用目安 | 更新 |
|---|---|---|---|
| SRRV(特別居住退職者ビザ) | 退職者・50歳以上 | 約30〜50万円+預託金 | 原則不要(永住型) |
| 9G(就労ビザ) | フィリピン法人で働く人 | 約5〜15万円 | 1〜2年ごと |
| 13A(配偶者永住ビザ) | フィリピン人と結婚した外国人 | 約5〜10万円 | 最初の1年は仮永住 |
| クォータビザ | 投資目的・希少枠狙い | 約50〜80万円以上 | 原則不要(永住型) |
なお、上記はあくまで目安です。
為替レートや申請時期、代理人手数料の有無によって変わります。
最新の費用は必ずPRA(フィリピン退職庁)やBIDM(移民局)の公式情報で確認するようにしてください。
SRRV|退職移住の「定番」だが預託金が思った以上に大きい
SRRVはPRA(フィリピン退職庁)が管理する長期滞在ビザで、50歳以上から申請できます(条件によっては35歳からも可)。
最大の特徴は「一度取得すれば原則更新不要」という永住型の安心感です。
ただし最低1万USドル〜2万USD程度の預託金をPRA指定口座に預ける必要があります。
これは退去時に返還されますが、手元資金として使えない期間が生まれます。
- 年金受給者(SSS/GSIS加入)は預託金が優遇される場合あり
- 不動産購入や医療費などへの転用ができるオプションも存在する
- 同伴家族(配偶者・扶養子供)も一定の費用で追加登録できる
SRRVの申請手順・費用・注意点は専門記事で詳しく解説しています。
退職移住を具体的に検討しているなら、併せて確認してみてください。



9Gビザ|フィリピンで働くなら必須、でも取得は会社頼み
9Gビザは、フィリピン国内の企業・法人に雇用される外国人向けの就労ビザです。
雇用主(フィリピン法人)が主体となって申請手続きを行うのが特徴で、個人が単独で取れるビザではありません。
費用は会社負担のケースが多いですが、更新を1〜2年ごとに繰り返す必要があり、転職や退職のタイミングでビザの有効期限が絡んでくることも。
離職した場合は速やかにビザのステータスを変更する必要があります。
- PEZA(輸出加工区)やRHQ(地域統括拠点)経由での取得は別プロセスになることがある
- フリーランス・自営業の外国人は9Gの対象外(別の在留許可が必要)
- 就労中に家族をフィリピンに呼び寄せる場合は配偶者・子供用のビザも別途必要



13Aビザ|フィリピン人と結婚した人への「永住への道」
13Aはフィリピン市民と婚姻した外国人が取得できる永住ビザです。
取得できれば就労制限なし、更新も最初の1年間の「仮永住」期間を過ぎれば事実上の永住資格に近い形になります。
ただし申請には婚姻証明書をはじめとする書類が必要で、不備があると審査が大幅に長引くケースもあります。
審査期間は一般的に数か月〜半年程度かかることが多く、申請開始から余裕を持ったスケジュールが必要です。
13Aビザの申請手順・費用・必要書類は専門記事でまとめています。
国際結婚後の移住を検討しているなら参考にしてみてください。
また、婚姻手続き自体に関してはフィリピン人との国際結婚の手続き・費用・詐欺対策の解説記事も参考になります。



クォータビザ|「知る人ぞ知る」永住型ビザ、ただし枠が激レア
クォータビザは、フィリピン移民法に基づいて発行される永住ビザの一種です。
就労・投資・退職などの条件を問わず滞在できる自由度の高さが魅力ですが、国籍ごとに年間50名という発行上限があります。
日本人枠も年50名しかなく、実質的に「常に空き待ち」に近い状態が続いているとも言われています。
申請から取得まで1〜2年以上かかることもあり、「すぐに移住したい」という方には現実的な選択肢になりにくいのが正直なところです。
- 一度取得すれば更新不要・就労制限なし・事業も可能
- 申請費用は他ビザより高額(代理人費用含め50万円以上になるケースも)
- 取得難易度・費用の高さから、まずSRRVや13Aを検討する人が多い






あなたにはどのビザが合う?目的別で選ぶポイント


ビザ選びは「自分の目的」から逆算するのが一番スムーズです。
以下を参考に、自分のケースに当てはめてみてください。
| こんな人に向いている | おすすめビザ | 注意点 |
|---|---|---|
| 50歳以上・退職後に長くフィリピンに住みたい | SRRV | 預託金の準備が必要 |
| フィリピン法人に就職・転職する予定がある | 9G | 雇用主頼みで個人申請不可 |
| フィリピン人パートナーと結婚・移住を考えている | 13A | 婚姻証明書など書類準備が必要 |
| 就労制限なし・投資・事業も視野に入れたい | クォータビザ | 発行枠が少なく取得難易度が高い |
- 「まず試しに長く滞在してみたい」という段階なら、観光ビザ延長→SRRVの順番で検討するのが現実的な流れです。
- 短期・中期の滞在を繰り返すなら9Aビザ(観光)の延長で対応できる場面もある
- 複数の条件に当てはまる場合は、移民局や専門の行政書士に相談するのがベスト
フィリピン移住に必要なビザ・資金・生活費の全体像を解説した記事も参考にしてください。
ビザ申請を進める前に確認しておきたいこと


ビザの種類を決めたら、次は準備のステップです。
申請開始から実際に滞在できるようになるまで、スムーズでも数か月は見ておく必要があります。
よくある質問
読者からよく寄せられる疑問をまとめました。
観光ビザ(9A)の延長だけで長期滞在できますか?
技術的には延長を繰り返すことで2年程度の滞在は可能ですが、毎回の手続き費用・手間が積み重なります。1年以上の滞在を明確に決めているなら、早めに長期ビザへの切り替えを検討した方がトータルで合理的です。
SRRVの預託金は戻ってきますか?
はい、フィリピンを退去・ビザを返上する際に返還されます。ただし返還手続きには一定の時間がかかります。また一部の条件下では不動産購入などへの転用も認められています。
日本にいながらビザ申請の準備はできますか?
書類の準備(アポスティーユ取得・翻訳など)は日本にいる間に進められます。ただし申請自体はフィリピン国内の機関(BIDMやPRA)に対して行うため、現地渡航後の手続きも発生します。エージェントを使うと一部代行が可能です。
ビザ申請で詐欺に遭うリスクはありますか?
あります。「確実に取得できる」「即日発行できる」と謳う非公式の仲介業者には注意が必要です。BIDMやPRAの公式窓口、または日本の行政書士など実績のある専門家を経由するのが安全です。
まとめ|ビザ選びは「目的の数だけ正解がある」
フィリピンの長期滞在ビザは、大きく「SRRV(退職者向け)」「9G(就労)」「13A(配偶者)」「クォータビザ(投資・自由度優先)」の4種類に分けられます。
どれが「正解」かは人によってまったく違います。
退職後に自由にゆったり暮らしたいならSRRV、フィリピン人パートナーとの生活を築きたいなら13A、というように目的から逆算して選ぶのが一番スムーズです。
費用・手続きの複雑さ・審査期間――どれも「思ったより大変だった」という声が多いのが正直なところ。
早めに情報を集めて、余裕を持ったスケジュールで動き出すことをおすすめします。
退職後にフィリピンで暮らす前に知っておくべきことや、フィリピン移住の失敗談と本当にかかる費用も、検討の参考になるはずです。











