この記事を書いた人
ケンタ
元フィリピン留学エージェントとして、留学の斡旋・カウンセリング業務に携わってきました。フィリピンへの渡航歴は10回以上、セブ・マニラなど複数の都市を実際に訪れています。
TOEIC900点を保有しており、語学学習や英語力の伸ばし方についても、実体験を踏まえてお伝えできます。
「フィリピンGO!」では、こうした現地エージェントとしての実務経験と渡航経験をもとに、留学・観光・現地生活のリアルな情報を紹介しています。
カラオケで隣に座ったフィリピン人、なぜあんなに上手いのか

旅行先のカラオケバーで、隣のテーブルのフィリピン人グループが歌い始めた瞬間、思わず手が止まった——そんな経験をした人は少なくないはずです。
「なんであんなに上手いんだろう」。
気になって調べてみると、実はこれ、偶然でも個人の才能でもなく、フィリピンの文化・歴史・日常環境が重なった必然だったことが見えてきました。
この記事では、フィリピン人に歌が上手い人が多い理由を、文化的・歴史的な背景から丁寧に掘り下げていきます。
ケンタ


フィリピン×音楽、ひと目でわかる数字まとめ


まずは「フィリピンと音楽の関係」を示す数字を、ざっとひと目で確認してみましょう。
理由①「歌が祈りだった」カトリック文化との深いつながり


フィリピン人に歌が上手い人が多い最大の理由のひとつが、カトリック文化との深い関わりです。
フィリピンは国民の約85%がカトリック教徒と言われています。
毎週日曜のミサはもちろん、洗礼・結婚式・葬儀・クリスマスのノベナ(9日間の祈り)など、人生の節目に必ず「歌」が伴います。
子どもの頃から教会で讃美歌を歌い続ける環境は、音程・声量・表現力を自然に鍛える場になっているそうです。
「特別に練習したわけじゃない」という人でも、気づけば長年の積み重ねがある——これが大きいようです。
フィリピンのカトリック文化が恋愛・結婚観に与える影響についてもまとめているので、文化的な背景に興味がある方はあわせてどうぞ。



理由②アメリカ植民地時代が生んだ「英語の歌」との親しみ
次に見逃せないのが、歴史的な背景です。
フィリピンはスペインに約350年、アメリカに約50年間統治された歴史を持ちます。
特にアメリカ統治時代に英語教育が広まり、英語の歌謡・ポップスが文化に深く根付きました。
英語が「外国語」ではなく「日常語のひとつ」として身近にある環境が、洋楽の歌詞をそのまま歌いこなす素地を作ったようです。
英語・タガログ語・各地域の方言と、複数の言語を使いこなす環境は、言語の音感・リズム感そのものを鍛える効果もあると言われています。
言語の数だけ、耳が鍛えられていくイメージです。



理由③「カラオケが娯楽の中心」という日常環境
フィリピンでカラオケは「特別なイベント」ではなく、週末の家族の過ごし方のひとつです。
バランガイ(地域コミュニティ)の集まり、誕生日パーティー、フィエスタ——あらゆる集まりで歌が飛び出します。
誰かが歌えば周りも続く、という文化が根付いているため、「歌うこと」への抵抗感がそもそも低いのです。
日本では「カラオケが苦手」という人も少なくありませんが、幼いころから人前で歌い続けてきたフィリピンの人たちにとって、マイクを持つことは呼吸に近い感覚かもしれません。



「音楽が仕事になる」という現実的なキャリアパスもある
フィリピンでは、歌や音楽の才能が経済的な手段と直結しやすい環境もあります。
観光地のホテルやリゾート、クルーズ船などでは、フィリピン人のライブパフォーマーが活躍しています。
国内だけでなく世界各地に出稼ぎに行くOFW(海外出稼ぎ労働者)の中にも、エンターテイナーとして渡航するケースが少なくありません。
「歌が上手ければ仕事になる」という現実が、幼いころから「歌を真剣に磨こう」という動機につながっているとも言えます。
才能を活かせる出口があるからこそ、真剣さが違うのかもしれません。
フィリピン人の歌声、こんな声も
編集部が一般的な傾向をもとに構成した声です。
実際にフィリピンで音楽に触れた方々の感想を参考にまとめました。
セブ島のリゾートホテルで夕食中にライブを聴いたんですが、プロのコンサートかと思うくらい上手くて驚きました。ポップスからバラードまで何でも歌えるんですよね。
パートナーの家族の誕生日パーティーに呼ばれたら、親戚一同がカラオケで歌い続けていて4時間以上続いた。しかも全員うまいので、もはやショーを観ている感じでした。
語学学校の先生が授業中にさらっと歌ってくれたんですが、声量と音程が普通にプロ級で。聞いたら「子どもの頃から教会で歌ってた」って話していました。
近所のバランガイのお祭りに行ったら、素人とは思えない歌声が聞こえてきた。普段は普通のおじさんなのに、マイクを持った途端に別人みたいで笑いました。
※特定個人の発言ではなく、編集部が一般的な傾向をもとに構成した内容です。
「歌が上手い」=才能だけじゃない、環境・文化・積み重ねの話
フィリピン人の歌の上手さは、生まれつきの才能というより、文化・宗教・歴史・日常環境が重なって育まれてきたものという見方が自然なようです。
整理すると、主な背景はこのあたりです。
| 要因 | 具体的な内容 |
|---|---|
| カトリック文化 | 幼少期から教会で讃美歌を歌い続ける習慣 |
| 植民地の歴史 | 英語・スペイン語が日常に溶け込み、洋楽への親しみが深い |
| カラオケ文化 | 家族・地域の集まりで歌うことが日常 |
| 経済的動機 | 歌・音楽がキャリアになるルートが身近に存在する |
| 多言語環境 | 複数の言語を日常的に使うことで音感・リズム感が鍛えられる |
もちろん「フィリピン人なら全員歌が上手い」というわけではなく、個人差はあります。
ただ、これだけの環境が重なっていれば、歌が上手い人が多くなるのは必然とも言えそうです。
フィリピンで有名な歌30選もまとめているので、実際にどんな曲が愛されているか気になる方はぜひ読んでみてください。
フィリピンの音楽文化をもっと知るなら
フィリピンの音楽は、フィエスタや祝祭日の文化とも深く結びついています。
フィリピンのフィエスタ完全ガイドでは、各地のお祭り文化や祝祭日カレンダーも紹介しています。
旅行中に音楽や歌が飛び交う祭りの現場に偶然居合わせた人も多いはずです。
また、フィリピンにはタガログ語以外にも180以上の言語・方言が存在します。
それぞれの地域で歌われる音楽のスタイルも微妙に違っていて、奥が深い。
ビサヤ語とタガログ語の違いを知ると、地域ごとの音楽の色の違いも少し見えてきます。
フィリピンの「集団の和」を重んじるパキキサマ文化も、みんなで歌を楽しむ文化の根っこにつながっていると感じました。
文化を知ると、音楽の聴こえ方まで変わってくるから不思議です。
よくある質問
フィリピンの音楽文化についてよく寄せられる疑問をまとめました。
フィリピン人は本当に全員歌が上手いんですか?
全員が上手いというわけではなく、当然個人差はあります。ただ、幼少期から歌に親しむ文化的背景があるため、歌に慣れている人が多い傾向はあると言えます。
フィリピン人が好む音楽ジャンルは何ですか?
OPM(オリジナル・ピリピノ・ミュージック)と呼ばれるフィリピン独自のポップス・バラードが人気です。英語の洋楽も広く親しまれており、カバー曲も非常に得意とする人が多いです。
カラオケはどんな場面で登場するんですか?
誕生日・クリスマス・バランガイのイベント・家族の集まりなど、あらゆる場面で登場します。特別なイベントでなくても、週末に自宅でカラオケを楽しむ家庭も少なくないそうです。
フィリピンの音楽文化を旅行中に体験できますか?
フィエスタ期間中や観光地のライブバー、ホテルのディナーショーなどで生演奏を楽しめる機会が多いです。カラオケも旅行者が気軽に入れる場所が各地にあります。
まとめ:「歌声」の背景を知ると、フィリピンがもっと好きになる
フィリピン人に歌が上手い人が多いのは、カトリックの祈りの文化、植民地時代に培われた英語との親しみ、日常にカラオケがある環境、そして音楽がキャリアにつながる現実——そうした要素が何十年も重なってきた結果でした。
「才能がある」というより「歌う環境で育ってきた」という表現が近いかもしれません。
それを知ると、旅先で聴いたあの歌声が、また少し違って聞こえてきます。
フィリピンの文化を深く知るほど、その魅力はどんどん広がっていきます。
ぜひ現地に足を運んで、生の歌声を体感してみてください。













