今回はイギリスに移住したソング里菜さんに体験談をいただきましたのでイギリスのリアルな移住情報を皆さんにも参考にしていただけますと幸いです。
移住した場所や国

私はイギリス北西部のPreston(プレストン)にある田舎に移住しました。
自宅の近くには、写真のような豊かな自然が広がっており、牛や馬がいるような場所です。
イギリスのPreston(プレストン) の場所
イギリスへ移住した時期
2019年4月上旬に渡英しました。
2022年1月時点で、在英歴は2年9ヶ月になります。
イギリスへ移住したきっかけや理由



日本に住んでいた20代前半から、自分に合っている働き方や生き方について模索していました。
自分の好きなことややりたいことが分からなくなっていたので、まずは興味のあることに挑戦しようと考えました。
そこで、イギリスへ移住する前は、大阪から兵庫県佐用町に地方移住をして、地域おこし協力隊として活動。
地域おこし協力隊とは、過疎や高齢化の進行が著しい地方において、地域外の人材を積極的に受け入れ、地域協力活動を行ってもらい、その定住・定着を図ることで、地域での生活や地域社会貢献に意欲のある都市住民のニーズに応えながら、地域力の維持・強化を図っていくことを目的とした制度のこと。
そして移住先の佐用町で、共通の友人を通じて、現在のイギリス人夫と出会い国際結婚しました。
夫は、当時は小中学校で英語の先生をしていましたが、義家族がイギリスで農業を営んでおり、夫に農業を継業しないかという話がありました。
農業は未経験で不安もありましたが、当時は佐用町で夫と家庭菜園を行っていたのが楽しかったのを覚えています。
自分が一緒に居て心地良い夫と農業してみたいという思いが強まり、悩んだ末、イギリス移住を決めました。
移住までの流れ
実際に私たちが移住した方法を4ステップに分けてご紹介します。
1.移住前にイギリスへ訪問



入籍する前からイギリス移住について考え始めていたので、仕事の冬季休みを活用して、夫とともにイギリスに行きました。
実際に足を運んだことで、
- 住む予定の場所はどのような環境か
- 義家族はどのような人か
- 食事は自分に合っているか
- 日本からの距離はどのくらいか
などを知ることができ、イギリスで生活するイメージがついたように思います。
2.英国大使館で手続き・町役場で入籍
町役場で入籍する前には、東京にある英国大使館へ訪問して、夫の独身証明書を受け取る必要がありました。
入籍手続きは、一般的な日本人同士の婚姻と同様に、日本の役所で可能です。
3.ファミリーVISAの取得
国際結婚をしたからといって、すぐにイギリスに住めるわけではなく、取得が難関と言われているファミリーVISAが必須でした。
このVISAを取得するためには英語力の証明が必要で、大阪でIELTS Life Skills A1のテストを受けて無事に合格。
初めてのVISA申請は不安があったので、代理エージェントを通じて申請しました。



とにかく提出書類が多く、夫婦で集めるのが大変だったのを覚えています。
その中でも、夫婦2人の関係性を示すために、連絡手段であるLINEのコピーや写真、手紙なども提出したのが印象的でした。
申請してから約3ヶ月後にファミリーVISAが降り、無事にイギリスへ移住できました。
4.引っ越し作業
日本からイギリスへ持っていくものと持っていかないものを区別して、まず断捨離を行いました。
次に、引越し業者を頼み、すぐに現地で使わない荷物は船便で送ってもらい、すぐに使うものは、スーツケースと航空便を活用しました。
海外に荷物を送る場合は厳しい税関のチェックがあるので、送るものを細かくリフトにまとめる必要があります。
船便で送った荷物は、約4ヶ月程度でイギリスへ到着しました。
移住する際に準備したものは?(貯金・ビザについて)
移住にかかった費用は、約100万円程度でした。
主な内訳は、ファミリーVISA取得と引っ越し費用です。
VISA取得については、上記に記載した通りです。取得にかかった費用は、代理エージェントを介したこともあり、約50万程度払いました。
また引っ越し費用は、私たちは夫の車を日本からイギリスへ輸入したため、費用は平均よりも多くかかってるかもしれません。
毎月の生活費はどれくらいかかる?



以下の5項目にて、大人2人分+生後2ヶ月の息子の毎月の生活費をご紹介します。
1.食費・日用品
食費や日用品の買い物は、コロナ禍ということもあり、オンラインでまとめて購入しており、月に約£300ほどかかっています。
2.家賃・固定資産税
現在私たちは元義実家をリノベーションして住んでいるため、家賃は発生していません。
固定資産税の額は、住むエリアによって変わってきます。
私たちのエリアは田舎の地域なので、月に£167ほどですが、都市部はもう少し高くなる傾向があります。
3.光熱費(電気・水道・ガス)
光熱費は、住宅の規模と季節によって変わってきます。
ここでは、4ベッドルームの1軒家に住む、私たちの電気代・水道代・ガス代をご紹介します。
- 電気: £35-40
- 水道: £45
- ガス: £50
寒くなると、上記のようなセントラルヒーティングを活用しているので、冬のガス代は高めになります。
4.通信費(携帯電話・インターネット)
- 携帯電話 :£18(夫婦2人分) イギリスのSIMカードである、giffgaffを使用。
- 自宅のインターネット :£22 自宅の Wi-Fiは、Vodafoneを使用。
5.交通費(ガソリン代)
私たちは普段の生活で公共交通機関を使うことはなく、主に車で移動しており月のガソリン代は約:£70ほどです。
移動距離や車種によって、毎月のガソリン代は変わってきますが、私の場合は月に2回ほど、ガソリンを入れています。
その他、税金・車保険・ペット保険などを併せると、毎月の生活費は合計で£1200(185,000円)です。
イギリスのNHS(国民保険サービス)の病院では、医療費が基本的に不要なのが特徴的。
移住してよかったことは?



イギリスに移住してよかったことは、日本に居た時よりも生活がシンプルになり、自分自身や家族と向き合う時間を多く取れていることです。
これまでの渡英生活を振り返ると、自分が何が好きで得意で、何が苦手なのかなど、自分をさらに知ることができました。
そこで、文章を書くのが好きだと改めて気付き、webライターのお仕事にも挑戦できています。
このように、イギリスに来てから、自分の求める心地良いワークライフに少しずつ近づいているように思います。
これからも、”心地良く暮らす”をテーマに、さらに肩の力を抜きながらイギリスで挑戦し続けたいです。
移住して大変だったことは○○



移住して一番大変だったことはやはり言語の問題(英語)ですね。
ネイティブスピードの英語が聞き取れなかったり、英語での電話対応が今も難しかったり苦戦中です。
またイギリス生活は、想定外のことがたくさん起きており、その中でも特に大変だったことを、大きく分けて4つご紹介します。
1.素人だけで、大幅な家のリノベーション
現在住んでいる家は、もともとは大幅なフルリノベーションが必要で、渡英した最初のハードルが家のDIYでした。
リノベーション前の家を見たとき、とても住める状態ではなく、大きな衝撃を受けたのを覚えています。
DIY経験者である義家族とともに、フローリングを貼ったり壁のペンキを塗ったりなど、作業が永遠に続くのではないかと思うほどでした。



今は綺麗になった家に住めており、自分達で1から作った家に愛着が湧いています。
2.義家族との付き合い
生まれも育ちも言語も全く異なる義家族に対して、価値観や考え方の違いで今でも悩むことがあります。
自分の家族と比較せずに、期待しすぎないことが、義家族付き合いでは必要かもしれません。
3.コロナ禍によるロックダウン生活
帰りたいときに日本へ帰国ができずに、ホームシックになることが今もあります。
家族や友人と気軽に会えないのはやはり辛いですね。
また、ステイホームで家に引きこもるようになり、イギリス生活に自信がなくなり辛い思いをしたことがありました。
今できる目の前のことに集中しながら暮らすことを意識しています。
4.イギリスでの妊娠・出産・育児
2021年の11月下旬に、イギリスの病院で息子を出産しました。
病院のMidwife(助産師)の英語が聞き取れない度に落ち込んだり、自分の伝えたいことがうまく英語で伝えられなかったり、悔しい気持ちにもなりましたね。
イギリスの病院は、日本の医療システムや対応とは異なり、戸惑うこともしばしば。
また、現地で気軽に頼れる人が少ないことも困ったことです。



現在も夫とともに、異国での慣れない育児に奮闘中です。
これからイギリスへ移住したい方へ向けてのアドバイス
イギリス生活は、予想外のことや大変なことがたくさん起きているのが事実ですが、イギリスへ移住したことに後悔はありません。



大きな変化が得意ではない私ですが、思い切ってイギリス移住に挑戦してみて心から良かったと感じています。
移住は、ご自身の求めるライフスタイルを実現するための選択肢の1つだと思います。
もし移住先での生活が合わなければ、『また日本に帰ればいい』と自分の中で逃げ道を確保しておくと安心かもしれません。
また、移住先に友達や知り合いがいなくて不安になる方もいるかもしれませんね。
しかし現在は、オンラインやSNSなどを通じて、すでにその地域へ住んでる人などと繋がりやすい便利な時代です。
私も実際にSNSを通じて、近くに住む日本人と繋がることができました。
渡英前はいろいろ不安になることも多いかもしれませんが、実際に移住してみると、意外と何とかなることも多いですよ。
今はコロナ禍で移住が難しくても、海外移住や、理想的な生活の実現に向けて、今できる準備はきっとあるはずです。
ぜひ海外移住にトライして、ご自身の求めるライフスタイルを手に入れてくださいね。